なぜ、洋服店のファッションセンターは、不況でもダメージを受けにくいのでしょうか。その理由は、不況でも売れ残りにくい商品を豊富に品揃えしていることと、地域にライバルが少ないことの2点が挙げられます
ユニクロをはじめ、衣料専門店の多くは、自社で開発しブランドを築いてきました。たとえばユニクロでは世界から集めた一流の専属のデザイナーが世界最先端のファッションやトレンドを研究し、商品を開発します。そして開発した新商品がヒットしたら、利益は莫大なものとなるというスタイルで一大ブランドを構築してきました。しかし、一流のデザイナーであっても、未来のトレンドを読むことは容易ではありません。ときには、莫大な開発費と宣伝費をつかったにもかかわら、蓋を開けてみたら新商品が消費者に受け入れられなかったというケースも少なくありません。また、新宿や原宿など都市部には、さまざまなアパレルメーカーが多く進出していることも、不況下では業績に大きく影響が出てきます。なぜなら、ライバルがひしめき合う都市部では、一流ブランドであっても販売合戦にいつも勝てるとは限らないからです。仮にライバル店に負けたら、赤字となり、店舗撤退をせざるを得ないわけです
一方、洋服店のファッションセンターしまむらの場合、基本的に、自社で商品を開発するという機会はほとんどありません。あるにしても、しまむらの規格を示すサンプルとして開発した商品や、宣伝の一環として芸能人とコラボして商品開発を行うといったケースくらいです。その代わり、洋服店のファッションセンターしまむらは、500社を越える取引先を抱えており、消費者のニーズに合った商品をバイヤーがその都度、目星をつけて仕入れてきます。仕入れる商品の多くは、自社で開発した商品ではないため大きな売り上げを伸ばすことはできません。ただ、ヒットしなかった在庫を大量に抱えるといったリスクがないわけです。
洋服店のファッションセンターしまむらは、パリやミラノなどの流行ファッションを取り入れた衣類も置いています。一方で、ファッションにあまり興味のない中高年が普段着として使うような実用性の高い衣類も
豊富に品揃えしています。前者については、不況になればたちまち売れなくなるでしょうが、後者については、不況であっても売れ行きがぐんと下がるということは基本的にはありません。
また、洋服店のファッションセンターしまむらは、地方の郊外に店舗を構えていることが多いです。そういった地方では、都市部のようにライバルがほとんどおらず、洋服店のファッションセンターしまむらの店舗の多くは、それぞれの地域でまさに一人勝ち状態です。その点も、洋服店のファッションセンターしまむらが不況下でもびくともしない理由の一つだと考えられます。
自社で開発した商品でリスクを伴いながらも大きな利益を得ていく「ユニクロスタイル」がよいのか、それとも、取引先から商品を仕入れて少ない利益を少リスクで積み重ねていく「しまむらスタイル」がよいのか、いずれが良いのかは、ケースによりけりだと思います。ただ、後者の戦略をとった洋服店のファッションセンターしまむらは、地味ながらも着実に業績を上げてきました。そして、2014年現在、衣料専門店においては今やユニクロに次ぐ全国第2位にまで上り詰めています。