チェーン店を展開するアパレル企業のなかは、ある程度店舗数が増えると現場任せにしたり成り行き任せにしたりするところも少なくありません。自由な裁量に任せることは店舗ごとの個性が出るなど良い面もあります。ただ、ブームや流行によって大きく左右されるアパレル業の場合、不況やブーム終焉が訪れると、ドミノ倒しのように崩れていくケースが少なくありません。むやみにチェーン店を増やしていくと、何か起きたとき統制がとれなくなるのです。結果的に、均一化されたサービスが提供できなくなったり、内部で意見が分かれて企業としてのエネルギーが削がれてしまうといったデメリットを誘発してしまいます。
その点、ファッションセンターしまむらを運営する株式会社しまむらは、何を進めるにも慎重かつ冷静でした。好景気のときも焦ることなく、しまむらは、将来を見据えた綿密な計画を立てて、着実にその計画を実行して基盤を強めていったのでした。結果的に、ファッションセンターしまむらは全国に1300店舗を構えるほどにまで店舗が増やし、しかも不況時にも各店舗ではほぼ着実に利益をあげる状況をつくりあげることに成功をしました。そこあたりは、ファッションセンターしまむらの全店舗のうち85%近くは開店から存続中ということにもあらわれているでしょう。
なぜファッションセンターしまむらは、そのように1300を超える数の店舗数になっても全店舗が標準化され、一定水準の満たすサービスや品ぞろえをできる体制を確立できたのでしょうか?それは、全国に大量出店をする前に、しまむらの経営陣が将来を見越した計画をしっかりと立てたうえで着実に計画を実行して基盤を固めたことが大きな要因だと思います。
ちなみに、しまむらが立てて実行した計画はいろいろあるようですが、そのひとつは、1店舗あたり数万点にわたる商品管理を、中央コントロールによるコンピューターで完全管理するシステムを構築したこと挙げられます。中央のコンピューターで全店舗を管理する計画は、ファッションセンターしまむらの店舗数がまだ50に満たなかったときから明確に立てられ、中央と全店舗をオンラインで結ぶことで実行されていたといいます。
しまむらが開発した中央本部のコンピューターシステムは、過去のデータの蓄積や最新トレンド、各店舗の商品の売れ行きなどをもとに、仕入れ数などを瞬時に判断。各店舗に商品を自動的に割り振っていくシステムです。その、しまむら独自のシステムにより、しまむらは、コスト削減や業務効率化に成功し、着実に利益を上げる仕組みを完成させたのでした。その仕組みのもとで店舗を増やしたからこそ、店舗を増やせば増やすほど利益も増えていくという好循環が生まれたのです。
しまむらは、早い段階から将来を見越したビジョンを明確に持っていて、早い段階から全国に大量出店したときのことを想定し基盤を固めていたといいます。近年、ファッションセンターしまむらは、東京や大阪など大都市圏への出店を加速するとともに、海外への出店にも視野を広げ始めています。2014年春には、しまむらは中国に店舗を30店舗ほど出店する計画を発表。それを受けて株式会社しまむらの株価は急上昇し、ニュースで大きく報じられました。将来を見越した綿密な計画と実行を着実に繰り返しながら利益を積み重ねてきた株式会社しまむら。その株価上昇の背景には、しまむらの歩みとその完成度の高いビジネスモデルをみてきた経済人たちからの信頼の高さがあると思います。