ファッションセンターしまむらが人気の理由のひとつに「商品が安い」ということが挙げられます。「商品が安い」といえば、薄利多売でどんどんキャンペーンをして宣伝しているのか?と思いきや、そうでもないようです。
▲デフレにもかかわらず堅実に成長をしてきたファッションセンターしまむら
バブルがはじけた後の1990年代以降、アパレル業界は軒並み不況で、デフレの波が押し寄せました。商品の品質が良くても、値段が高い商品はなかなか売れない。だから、各衣料専門店やデパートの多くは、派手な宣伝を行って自社のブランドを高めながら、商品の値段を下げて薄利多売をすることで利益を生み出そうとしました。しかし薄利多売の競争は、都会を中心に熾烈をきわめ 利益を出せすに倒産する衣料専門店やアパレルメーカーが相次ぎました。
一方、そのようなデフレの波にもびくともせず、堅実に利益を積み重ねて店舗数を増やしてきたのが、ファッションセンターしまむらです。アパレル業界の数少ない勝ち組といって良いでしょう。
アパレル業界の勝ち組といえば、派手な宣伝で熾烈な競争を勝ち残った印象があるかもしれません。しかし、ファッションセンターしまむらは、それとは正反対でした。むしろとても地味な存在でした。しまむらの行ってきた宣伝といえば、地域に新聞の折込チラシを入れたり、ホームページ上でデジタルチラシを公開するくらいだったからです。
それに加え、ファションセンターしまむらの店舗は、地方の郊外がほとんどです。厳しい競争に勝っていくためには、立地の時点で不利だと思われがちかもしれません。現に、地方のしまむらに足を運べば、買い物袋を下げた中高年のお客がママチャリを停めてのんびりと買い物をしているという雰囲気。そこには、激しい薄利多売の商戦や、派手なセールス色といったものはほとんど見られませんし、買い物客でごった返すといったこともありません。ファッションセンターしまむらは、人口の少ない地方の郊外で、知る人ぞ知る地味な衣料専門店として展開してきたのです。
大きな地図で見る(地図)ファッションセンターしまむらは47都道府県を制覇。台湾など海外にも進出
地方の郊外にあるしまむらの店舗のなかには、駅から徒歩20分以上離れている店舗も少なくありません。勝ち組の衣料専門店といえば、原宿や渋谷のように人が集まる繁華街に店舗を構えなければ勝ち残れないイメージがあるかもしれません。しかしファッションセンターしまむらはそれとは全く正反対の路線で展開しました。東京23区をはじめ都会に店舗をほとんど構えず、交通の便があまり良くない地方の郊外にばかり店舗を増やしていったのです。「一体、しまむらは、こんな辺鄙な場所で商品を安く売ってて儲けがでているのか?」と心配にすらなるほどです。
ただ、しまむらはしっかりと利益を積み上げてきました。しかも、2014年現在、衣料専門店においては、ファッションセンターしまむらは ユニクロに次ぐ全国第二位のポジションにまで上り詰めています。その一見地味な営業展開にもかかわらず、なぜ登り龍のごとくの利益を上げることがしまむらにはできたのでしょうか。そこには、「薄利多売」ではない、しまむらならではの発想があったのです。
ファッションセンターしまむらの各店舗は、一店舗あたり、平均300坪の広さを誇るといわれています。ただ、しまむらの店舗の多くは、人口の少ない地方の郊外にあるため、店舗ごとが生み出す売り上げは決して多くはありません。坪あたりが生み出す売り上げは、他の衣料専門店の半分以下だともいわれているほどです。また、商品の値段は他の衣料専門店やデパートに比べて3〜4割も安いので、粗利益率が高いというわけでもありません。
それにもかかわらずファッションセンターしまむらが利益をあげられるのは、独自の運営方式により、経費を低く抑えることができているからです。経費を抑えるといえば、たとえば、そのひとつに、しまむらの物流システムが挙げられます。他の衣料専門店の多くは、物流業者に商品の移送や搬入・搬出を委託していて、大きな経費を物流業者に支払っています。一方、ファッションセンターしまむらはというと、物流システムを自社内で開発し、自社のトラックで商品の移送や搬入・搬出を行っているのです。
自社で物流も行うことで、しまむらは経費を大幅に削減できたのです。また、自社の物流システムを運営することは2次的なメリットも生みました。全国に点在するしまむらの各店舗との連携や効率化が自由にできるようになったのです。たとえば、しまむらの物流システムは、商品を店舗ですぐに陳列できるように、ハンガーにかけたまま輸送しているそうです。到着した商品は、パッキンから取り出し、タグのバーコードをスキャンするだけで、すぐに店舗に陳列できる状態になります。他の衣料専門店ならば、ダンボールから開けて、ハンガーをかけて、タグをつけて・・・といった一連の作業を要するところを、ファッションセンターしまむらは、独自の物流システムにより、その作業をカットすることができ、結果的に、人件費の削減をすることができたのです。
▲ファッションセンターしまむらの各店舗は、独自の物流システムにより、多種類の商品が品揃えしている
ファッションセンターしまむらは、さらに 少なく仕入れて、短期間に売り切るというスタイルをとることでもムダを省いています。売れなければ、売れる確率の高い近隣の他店舗に移動させて売る。そうすることで、確実に商品をさばいているのです また、その一連の物流の流れのなかで、ほぼ毎月のように商品の入れ替えも行っています。結果的に、数万アイテムの個性的な商品がファッションセンターしまむらの各店舗には常にあるという状態となり、そ消費者からすると、「しまむらに行けば、いつも新しい商品が入っている」という鮮度の良さを演出することにもつながっているのです。
ファッションセンターしまむらの商品が安いのは、薄利多売をしているからではなく、独自の物流システムなどにより経費を低く抑えているからこそできていることなのです。これは、従来のアパレル業の常識を覆す発想をしたファッションセンターしまむらだからこそ成し得たことでしょう。経費を抑え、人口の少ない地方の郊外で地道に利益を積み重ねる。それを継続してきた結果、ファッションセンターしまむらは、衣料専門店のなかで、ユニクロに次ぐ日本第二位にまで成長したのです。
2014年現在、ファションセンターしまむらの店舗数は全国で1000店舗を超え、さらにその店舗数は増えつつあります。東京23区や大阪市内など都会にも進出を積極的にしはじめたしまむらグループ。今後、どのように展開していくのか注目です。
婦人服や紳士服、子供服をはじめとする衣類や靴類、寝具などは、私たちが豊かで快適な生活を送るうえで欠かせないものです。ファッションセンターしまむらの場合、基本的に1点ものが中心で、他の店舗を探しても同じような衣類が見つかることはなかなかありません。それだけに、他の人と服装がかぶりにくいというメリットもあることでしょう。それに加え、自分だけのオリジナリティあふれる組み合わせのコーデを楽しむことができる楽しさもあろうと思います。それがひとりひとりの個性を輝かせることにもつながるような気もします。お値打ちの商品であっても思いもよらないほど安価で販売されているケースもあります。特に季節外れのワゴン商品は掘り出し物の宝庫。そんな掘り出し物を探すことも含めてさまざまな店舗を巡ってみると、買い物の楽しみ方は無限大だといえるかもしれません。
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洋服や靴、寝具の素材はさまざま。コーディネートを楽しみつつ自分に合った使い勝手のよいものを選ぶことができるとよいですね。
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